ホームページだけではブランドは育たない。「また頼みたい」をつくる顧客接点(タッチポイント)の整え方

「ホームページを新しくしたから、これでブランドも整った」
そう思われることがあります。
でも私は、ホームページやロゴをきれいにしただけでは、ブランドは完成しないと思っています。
なぜなら、お客様がその会社を判断しているのは、ホームページを見ている時間だけではないからです。
検索して見つける。
Instagramを見る。
ホームページを読む。
問い合わせをする。
メールが返ってくる。
実際に会う。
サービスを受ける。
納品後にフォローしてもらう。
お客様は、こうした一つひとつの体験を通して、
「この会社って、こういう会社なんだ」
と少しずつ認識していきます。
この、お客様と会社が接する一つひとつの場所を「タッチポイント」と呼びます。
私はブランドづくりでは、このタッチポイントがとても大事だと思っています。
■ ブランドは、会社が「こう見せたい」と決めるだけでは作れない
ブランドコンセプトを作り、ロゴを整え、きれいなホームページを作る。
もちろん、それも大切です。
でも、そこで、
「私たちは親身に寄り添う会社です」
と書いてあるのに、問い合わせをしたら返信がそっけない。
「気軽にご相談ください」
と書いてあるのに、実際に話してみると専門用語ばかりで質問しにくい。
「丁寧な対応を大切にしています」
と書いてあるのに、納品後は連絡が取れない。
これでは、お客様は違和感を持ちます。
ホームページで期待したことと、実際の体験が違うからです。
私は、ブランドづくりでとても大事なのは、
「期待と体験を一致させること」
だと思っています。
■ ホームページも、電話対応も、全部同じブランドです
ブランドというと、ロゴ、色、フォント、ホームページのデザインなど「見た目」の話になりがちです。
でも、お客様からすると、もっと広いんです。
例えば、
・Google検索
・ホームページ
・SNS
・広告
・名刺
・チラシ
・電話
・メール
・LINE
・問い合わせフォーム
・初回相談
・見積書
・店舗や事務所
・接客
・営業
・サービスそのもの
・納品
・アフターフォロー
これらは全部、お客様がその会社を知るための材料です。
ホームページだけ優しくても、電話対応が冷たければ、
「思っていた会社と違った」
となります。
逆に、ホームページで感じた印象と、実際に会ったときの印象が一致すると、
「やっぱりここに頼んでよかった」
という安心につながります。
だから私は、ブランドを整えるというのは、
「全部同じデザインにすること」
ではなく、
「どこでその会社に触れても、同じ価値を感じられる状態をつくること」
だと思っています。
■ 私自身、「ホームページに書いてあった通り」と言われることがあります
これは、私自身もお客様から教えてもらったことがあります。
初回のヒアリングで、
「ホームページに書いてあった通り、本当にすごくヒアリングしてくれるんですね」
と言っていただくことがあります。
私はホームページで、
まず話を聞くこと。
その人や会社の中にある価値を見つけること。
いきなりデザインを始めないこと。
を伝えています。
そして実際の打ち合わせでも、かなりたくさん質問します。
だからお客様からすると、
ホームページで感じたことと、実際に会ったときの体験がつながる。
「書いてあったこと、本当だったんだ」
となるんですよね。
これって、すごく大事なことだと思っています。
どんなに素敵なコピーを書いても、実際の体験が違えば、ブランドにはなりません。
逆に、書いてあることと実際の体験が一致すると、それが少しずつ信頼になっていきます。
■ 一貫性とは、「全部同じにすること」ではありません
ここで間違えやすいのが、「ブランドの一貫性」です。
一貫性というと、
全部同じ色にする。
全部同じフォントを使う。
Instagramもホームページも同じデザインにする。
と思われることがあります。
もちろん、見た目の統一も必要です。
でも、それだけではありません。
例えば、あるお店が、
「初めての方でも入りやすい」
「難しいことを知らなくても大丈夫」
「気軽に相談できる」
という価値を大切にしているとします。
ホームページは分かりやすく。
SNSでは専門用語を使いすぎず。
店舗では声をかけやすい雰囲気をつくる。
接客でも「そんなことも知らないんですか」という態度を取らない。
それぞれ表現は違います。
でも、全部、
「初めてでも安心して相談できる」
という同じ価値につながっています。
これが一貫性だと思っています。
■ 「違っていても、根っこでは同じ」でいい
以前、複数の事業所を運営する法人様のブランド設計をお手伝いしたときにも、このことを強く感じました。
それぞれの事業所には、それぞれの歴史があります。
利用されている方も違えば、仕事内容も違う。地域との関わり方も、それぞれ違います。
だから、全部同じにする必要はありません。
それぞれの良さを残したまま、
「でも、法人として大切にしている根っこは同じ」
という状態をつくる。
ブランドコンセプトを一本の軸にして、ロゴ、ホームページ、写真、言葉の方向を整えていきました。
私は、これがブランドの一貫性だと思っています。
違いを消すことではありません。
違っていても、
「ああ、やっぱり同じ会社だね」
と感じられる状態をつくることです。
■ 小さな会社ほど、「その人自身」がブランドになる
特に、個人事業主や小さな会社の場合は、代表者自身がお客様との大きなタッチポイントになります。
ホームページではすごく柔らかい雰囲気なのに、実際に会ったらものすごく堅い。
SNSでは親しみやすいのに、問い合わせには数週間返信が来ない。
これは、かなり違和感があります。
反対に、
ホームページで感じた雰囲気。
SNSで見ていた人柄。
実際に会ったときの話しやすさ。
サービスを受けたときの対応。
全部がつながっていると、
「やっぱり、この人に頼んでよかった」
になります。
だから私は、小さな会社や個人事業の場合、
無理に「ブランドらしい人格」を作る必要はないと思っています。
むしろ、その人が本当に大切にしていることを見つけて、それが正しく伝わるようにした方がいい。
作ったイメージを演じ続けるのは、結構しんどいです。
でも、本当にやっていることなら続けられます。
■ お客様は、一回の広告だけで会社を判断していない
お客様が初めて会社を知って、すぐに問い合わせるとは限りません。
Googleで見つける。
一度ホームページを見る。
そのまま閉じる。
数週間後にInstagramを見る。
またホームページを見る。
口コミを見る。
必要になったときに、ようやく問い合わせる。
こういうことも普通にあります。
そのたびに、
「この会社はこういう会社なんだ」
という印象が少しずつ積み重なります。
だから、一つの広告だけをすごくよくしても、他の場所で印象がバラバラだと、なかなかブランドとして定着しません。
ホームページ。
SNS。
口コミ。
接客。
商品。
人。
それぞれの接点で、少しずつ同じ認識を積み重ねていく。
そうすると最終的に、
「〇〇なら、ここ」
という状態になっていきます。
私は、ブランドってこうやって育っていくものだと思っています。
■ 「〇〇といえばここ」は、一回では作れない
ブランドというと、大きな会社が何百万円、何千万円も使って作るものに思えるかもしれません。
でも、本質はもっと地道です。
例えば、
問い合わせをしたら、毎回丁寧に答えてくれる。
相談すると、いつも話をよく聞いてくれる。
専門的なことも分かりやすく説明してくれる。
困ったときに頼ると、ちゃんと向き合ってくれる。
そんな体験が何度も続く。
すると、
「あそこなら相談できる」
という認識ができます。
さらにそれが続くと、
「この分野なら、あそこ」
になる。
これがブランドになっていくんだと思います。
だからブランドは、一回の広告で作るものではありません。
日々のお客様との接点の積み重ねです。
■ タッチポイントを一度、全部書き出してみる
もし自社のブランドを見直すなら、一度、
「お客様は、どこで自社に触れているだろう?」
と考えてみてください。
認知する前。
検討しているとき。
問い合わせるとき。
購入・契約するとき。
サービスを受けているとき。
利用したあと。
その流れの中に、どんな接点があるのかを書き出します。
例えば、
検索
↓
↓
ホームページ
↓
問い合わせフォーム
↓
メール
↓
初回相談
↓
見積
↓
契約
↓
サービス
↓
納品
↓
アフターフォロー
という流れだったとします。
ここで一つずつ、
「このとき、お客様にどんな印象を持ってほしい?」
「実際は、どんな体験になっている?」
を確認してみる。
すると、
ホームページでは「気軽に相談してください」と書いているのに、問い合わせフォームがものすごく長い。
丁寧な会社を打ち出しているのに、見積書が分かりにくい。
親しみやすさを伝えているのに、メールが定型文だけ。
そんな小さなズレが見えてくることがあります。
ブランド改善って、必ずしも全部を作り直すことではありません。
こういうズレを一つずつ直していくことでもあります。
■ ブランドコンセプトは、タッチポイントを整えるための軸になる
前回の記事で、ブランドコンセプトは、
「これは私たちらしい」
「これは私たちらしくない」
を判断するためのものさしだと書きました。
この「ものさし」があると、タッチポイントを整えやすくなります。
例えば、
「私たちは、お客様が安心して相談できる存在でありたい」
という軸があるなら、
ホームページはどうする?
問い合わせフォームは?
初回相談は?
メールの文章は?
見積書は?
契約後のフォローは?
と考えられる。
ブランドコンセプトが言葉だけで終わらず、
実際のお客様の体験までつながっていくんです。
私は、ここまでつながって初めて、ブランドが「使えるもの」になると思っています。
■ ブランドは「見せ方」と「実際」が一致しているか
私は、ブランディングで一番怖いのは、見せ方だけが先に良くなることだと思っています。
ホームページでは素敵。
コピーもいい。
写真もきれい。
でも実際に問い合わせてみたら、全然違った。
これはむしろ、期待値が上がっている分、マイナスになります。
だから私は、ブランド設計では、
「どう見せるか」
だけではなく、
「本当にそういう会社なのか?」
も大切にしています。
もし実際にできていないことなら、無理に書かない。
逆に、日頃から本当にやっているのに伝わっていないことなら、しっかり伝える。
その方が、長く続くブランドになります。
■ 「またここに頼みたい」は、デザインだけでは生まれない
私はデザイナーなので、もちろんデザインは大切だと思っています。
見やすさも、印象も、分かりやすさも重要です。
でも、お客様が、
「またここに頼みたい」
と思う理由は、デザインだけではありません。
問い合わせたときの安心感。
話を聞いてもらえたこと。
提案してもらえたこと。
サービスを受けた体験。
困ったときの対応。
そういうものが全部つながって、
「この会社が好き」
「この人なら安心」
「次もここに頼もう」
になっていく。
だから私は、ブランドを作るときに、ロゴやホームページだけを見るのではなく、
お客様がその会社と出会ってから、その後まで。
できるだけ全体を見るようにしています。
■ 60分無料|ブランドの「ズレ」を一緒に整理します
Design KAI GRAPHでは、会社や事業の「選ばれる理由」だけでなく、それがホームページやデザイン、実際のお客様との接点まで一貫して伝わっているかを一緒に整理する60分の無料相談を行っています。
「ホームページは整えたけれど、いまいちブランドとしてまとまっていない」
「SNS、ホームページ、営業資料がバラバラ」
「自分たちらしさはあるけれど、それがうまく伝わっていない」
そんな場合は、一度、お客様との接点を一緒に見直してみましょう。
全部を作り直す必要があるとは限りません。
どこで期待と体験がズレているのか。
どこはすでに強みとして機能しているのか。
そこを整理するだけでも、次に何を整えるべきかが見えてきます。
ブランドは、ロゴを作って完成ではありません。
お客様との一つひとつの接点で、少しずつ育っていくものだと思っています。
瀬沼華衣(せぬま かい)
聴き役デザイナー|ブランドマネージャー
Design KAI GRAPH 代表/新潟県新発田市
デザイナー歴19年、制作実績3,000件以上。
経営者や事業主の話をじっくり聴き、会社の中にすでにある価値や強み、想いを見つけ出し、「選ばれる理由」として言語化・ブランド設計しています。
コンセプト設計、言語化、Web、デザインから、お客様とのタッチポイントまで一貫してディレクションしています。




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